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“らしく”をもっと

じゃない昔話2:王子様はニガテなの!「新シンデレラ」

昔話を新しく書き換えてみました。
どちらがいいという話ではなく、「価値観にとらわれなくていい」ということを感じてもらえるとうれしいです。
 

元のお話

シンデレラ
継母と義姉に虐げられていたシンデレラ。王子様の舞踏会にいくドレスもありません。
そこに魔女が現れて、キレイなドレスとかぼちゃの馬車を用意してくれました。
王子様の舞踏会にいったシンデレラは、王子様に気に入られますが、12時になると同時に魔法がとけてしまうので、身元を明かさずに急いで家に帰ったのです。
シンデレラともう一度会いたい王子様は、シンデレラが残したガラスの靴を手がかりに、シンデレラを探し出し、ふたりは結ばれたのでした。

とってもいい話ですね…

でも…

わたし
地位があったり、贅沢できるよりも大切なものがある!
って言う人がいてもいい。

そう思いません?
 
そこで…
 
この物語を、現代風にアレンジしてみました。

新:シンデレラ

昔々、シンデレラと呼ばれる心の優しい娘がいました。本当は貴族の娘なのですが、意地悪な継母とその連れ子である二人の義理の姉に妬まれ、まるで召使のように扱われていました。
 
ある時、この国の王子様が舞踏会を催すことになり、二人の義理の姉は着飾って出かけました。シンデレラも興味はあったのですが、美しいドレスがありません。しかも、姉たちからは、たくさんの家事を言いつけられているので、舞踏会に行っている時間もないのです。
 
シンデレラは、パンを買いにいきました。街のはずれにあるパン屋さんは、幼馴染の男の子がやっているお店。裕福ではないけど、大好きなパンに囲まれて、いつも幸せそうな男の子。そのお店は、いつもパンのいい匂いで一杯なので、シンデレラも胸いっぱいにパンの香りを吸い込むのを楽しみにしていたのでした。
 
街のパン屋さんに着くと、男の子がちょうどパンを焼き上げたところでした。シンデレラがパンの香りを楽しんでいると、男の子が「ちょうどいい時に来たね!今焼き上がったところだよ!おいしいから、食べていきなよ!」とアツアツのパンをプレゼントしてくれたのです。
 
「そういえば、君は、王子様の舞踏会には行かないのかい?街の女の子はみんな着飾って、お城へ出かけて行ったのに…」男の子は不思議そうな顔でこちらを見ています。
 
「私はいいの。豪華な料理よりパンの方が好きだから…」とちょっと強がってみました。
 
 

家に帰ってみると…

家に帰ると、義姉たちも舞踏会から帰ってきたところで、ふたりは興奮した様子です。  
 
「シャンデリアがとっても大きくて素敵だった!」「初めて見る料理がたくさんあったね!」「イケメンの王子様が気さくに話しかけてくれたのよ!」と、目をキラキラさせて、舞踏会や王子様の素晴らしさを語り合っているのでした。
 
お妃を探すための舞踏会は、来週も開催されるらしく、町中の年頃の女の子は、みんなライバルとして切磋琢磨しています。
義姉さんたちも、美しさに磨きをかけていて「ライバルがいるのっていいことなんだなー」とシンデレラは思っていました。
 
でも…。
 
シンデレラには美しいドレスがありません。
子どもの頃にもらった「魔女の帽子」や「ガラスの靴」を見ては、「魔女さんが出てきて、この質素な服をキレイなドレスに変えてくれないかな。そして、このカボチャがかわいい馬車になって、お城まで連れて行ってくれるの。あー、このガラスの靴を履いていくのもいいなー」と妄想をして楽しんでいました。
 
ふと、魔女の帽子を持ち上げてみると、1枚の紙が落ちてきました。
そこには「ほんとうの幸せはなに?」とだけ書かれています。
 
シンデレラは、「魔女さんからのメッセージかもしれない!」と思い、その紙を大切にして、時々、見返すことにしました。
 
そして、日は流れて、今日は2回目の舞踏会の日。
 
義姉さんたちは、朝から慌ただしく準備をしています。
「本当は、ベージュのドレスが好きなんだけど、地味で目立たないから、このピンクのドレスにしよう!」と義姉さんが話しています。
 
シンデレラは、「義姉さんは、ベージュでおしとやかな感じのほうが似合うのにな…。好きなドレスも着られないなんて、舞踏会も大変だなぁ」って思いました。
その時、魔女からの「ほんとうの幸せはなに?」という言葉を思い出したのです。

「私、行ったことがないから舞踏会に興味があったけど、よく考えてみたら、王子様に気に入られて、贅沢な生活をしたいなんて、全然思わないわ。誰かに羨ましい…なんて思われたくもないし…」と思ったのです。
 
そこで、さらに「じゃあ、私は、何が幸せなのかしら?」と考えてみることにしました。今までは、家事に追われていて、そんなことを考える時間もなかったのです。
 
それから数週間、頭の中は幸せな妄想で一杯です。
 

何が幸せなんだろ?

「そうだなー。ドレスよりも、ふわふわの綿の服が好きでしょ。靴も、ガラスのハイヒールじゃなくて、ペタンコの革靴の方が履きやすくて好き!そして、贅沢でなくていいから、大好きな人と一緒にご飯が食べられるといいな。テーブルマナーとかを厳しく言われると緊張しちゃうから、ラフな感じの方がいいの。そして、毎日、あのパン屋さんのパンが食べられたら、幸せだなー」そんな想像をするだけで、心がほっこりしてきました。
 
「あと、姉さんには悪いけど、私は王子様みたいな人はあまり好きじゃないなー。たしかにイケメンだけど、私は、もっと純粋でクマさんみたいな包み込んでくれる感じで、お金持ちでなくてもいいから、好きなことに一生懸命で、笑顔が素敵な人がいいなー。あのパン屋さんみたいな…」
 
「あ!!」シンデレラは、ゆっくりと自分の気持ちを感じてみたことで、パン屋さんに恋していることに気付いたのでした。
 
シンデレラは、母と姉さんに、この家を出てパン屋さんに嫁ぐことを伝えました。自分の気持ちに気付いてしまったら、いても立ってもいられなかったのです。実は、幼馴染だったパン屋の男の子からは、小さなころから「いつか結婚しようね!」と言われていました。

継母には「ここにいれば、少しは贅沢な暮らしができるのに」と言われ、義姉には「私は、王子様に気に入られて、贅沢な暮らしをするのに、ほんとにパン屋でいいの?」と言われました。姉さんは、王子様に気に入られていたのです。
 
シンデレラは「誰になんて言われようとも、私の人生なんだから、私の幸せは私が決めるの!」と、荷物をまとめ、家を飛び出しました。
もちろん、魔女の帽子も、ガラスの靴も一緒です。
 
そして、シンデレラは、パン屋の男の子と仲睦まじく一緒にお店を盛りたて、ささやかだけど、心がほっこりする毎日を過ごしたのでした。
また、継母もふたりの義姉も、シンデレラの優しさにふれているうちに、シンデレラのことが好きになり、大切なものは違えど、お互いを尊重しあえる関係になっていったとさ。
 
(おしまい)

ひとことメッセージ

 
海外旅行に行って、美味しいものを食べて、流行りの服を買って、いい車に乗って…のような「みんなの幸せ」は、本当にあなたに必要なのでしょうか?
 
この物語のシンデレラのように、周りがなんと言おうと、「これが私の幸せ!」と思えるものを見つけて、それに囲まれて生きていくのもいいのかもしれません。
 
あなたも、あなたの幸せを探してみてくださいね。
 

今日の質問:どんな時に幸せだなって思いますか?

 
ぜひ、自分の答えを探してみてくださいね。

→他の物語も読む

(文:河田真誠)
(絵:牛嶋浩美)

※この企画を本にして下さる出版社さんを探しています。河田真誠(info@cocoro-style.jp)まで連絡ください。



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