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じゃない昔話1:遊んでたのに幸せ!「新アリとキリギリス」

常識を壊したくて、昔話を新しく書き換えてみました。
どちらがいいという話ではなく、「価値観にとらわれなくていい」ということを感じてもらえるとうれしいです。
 

元のお話

アリとキリギリス
夏のある日のこと。キリギリスが今日も遊んでいると、汗をかいて荷物を運んでいるアリさんが通りかかりました。
キリギリスが、こんな気持ちのいい日に何をしているのかと尋ねると、アリさんは、冬になって食べ物がなくなって困らないように、今のうちから蓄えているんだよと答えました。
キリギリスは、こんなに食べ物がたくさんある夏のうちに、冬の心配をするなんて信じられません。
時は流れて、冬になったある日のこと。
キリギリスさんは、夏の間に遊んでいたので、食べるものがありません。しかし、アリさんは夏の間に蓄えていた食料で豊かに暮らしていました。
どうか食べ物を分けてくれないかとキリギリスさんはお願いをするのですが、「あなたが夏の間に遊んでいるからですよ」とアリさんは話を聞いてくれませんでした。

 
「コツコツ働くことの大切さ」、そして「将来の不安に備える堅実さ」を教えてくれる良いお話ですね。

でも…

今どき、コツコツ働くだけで幸せになれる?
と思う人がいてもいい。

そこで…

新:アリとキリギリス

夏のある日のこと
 
毎日、遊んで暮らしているキリギリスは、今日も野原で歌っていました。
 
そこを、汗をかいて荷物を運んでいるアリさんが通りかかりました。
アリさんは、寒い冬に備えて、毎日、食料を集めているのです。
 
 
「ホントは、キリギリスさんみたいに遊びたいけど、冬になったら後悔するのはイヤだな…」とアリさんは思いました。
 
しかし、毎日、がんばって働いていたアリさんは、ちょっと疲れていました。
 
仕事終わりに同僚と一杯飲んでストレスを解消していたのに、最近は、どうやっても仕事へのやる気が湧いてこないのです。
月〜金は心をすり減らして働き、土日のお休みで心と身体を癒やして、日曜日の夜になると「また、明日から仕事か…」とイヤな気持ちになるのでした。
 
自分の好きなことを楽しむ時間も取れなくなり、毎日は「やるべきこと」でいっぱいです。
そして、だんだんと「何のために働いているんだっけ?」「なんのために生きているんだっけ?」と悩むようになってしまったのです。
 
一方で、キリギリスさんは遊んで暮らす毎日です。
歌を歌ったり、いろんな街を旅したり、いろんな動物たちとお酒を飲んだり。
毎日を精一杯に楽しんで生きていたのです。
 

なんのために?

そんなある日、アリさんとキリギリスさんが再会しました。
 
「アリさん!なんか疲れてるね。大丈夫??」
 
「疲れているけど、仕方ないだろう。仕事をしなくちゃ…。キリギリスさんは、遊んでばかりいて将来が不安じゃないの?」
 
「僕も不安だよ。冬になったらご飯に困るかなと心配してる。だから今、こうしていろんな『経験』をしてるんだよ」
 
「経験?」
 
「うん、アリさんみたいに食料を貯めておくのも大切かもしれないんだけど、僕はちょっと違うことを思ってて。例えば、いくらがんばって食料を貯めても、大雨で家が流されることもあるだろう?それに、今は雇ってくれてる所があるからいいけど、そこだって、いつ倒産してしまうか分からないじゃないか。何かに頼って生きていくのって、不安だと思うんだ」
 
「たしかに、そうかも…」
 
「だから僕は、まず自分を育てよう!と思ったんだよね。いつでも、どこでも必要とされる人になれれば、雇ってくれる所の心配をしなくてもいいし、何かに頼らなくても、自分で生きていけると思うんだ。そんな自分になりたくて、まずは、自分が何が好きかとか、何が得意なのかを知るために、たくさん遊んで、いろんな人と、いろんな経験をしているところなんだよ!」
 
「そうなんだ!ちゃんと考えてたんだ!僕は、周りの仲間に流されて、自分であまり考えずに、ここまできちゃたな…。」
 
「せっかくの人生なんだからさ、少しでも幸せな方がいいよね!仕事自体が楽しかったら、毎日が幸せだなと思んだよね」
 
「僕は、仕事が楽しいなんて思ったことはないな。最近は、女王アリ様の独裁についていけないなと思ってるし…でもさ、そんなことを年配のアリさんに言うと「仕事は大変なものなんだ!好きなこととか甘いことを言わずに、苦労をしろ!」って怒られない?「キリギリスさんが遊び過ぎて、冬になったら、ご飯がなくて死んじゃう」っていう昔話もあるくらいだしさ…」
 
「うん、怒られるよ。でもさ…、僕は「好きなことを仕事にしない方が甘い」と思うんだよね。だって、嫌いなことを仕事にしててやっていけるほど、世の中、甘くないよね。イヤなことをやってたら、無理してがんばらないといけないから心も疲れるしさ、良いことなんて何もないよ。それに、自分の気持ちに嘘をつくことだけはしたくないんだ。」
 
「たしかに、そうだね」
 
「僕は、ラクをしたいって言ってるんじゃなくて、長い目で見ると「本当にやりたいこと」とか、「自分が得意なこと」とかをちゃんと分かった上で働きたいの。そのために、まずは、たくさん遊んだほうがいいと思ってさ。遊んでると自分のことがよく分かるんだよね。」
 
「みんなが、キリギリスさんみたいに仕事を楽しめたら、素敵な世の中になっていくだろうねー。」
 
「そうだよ!アリさんも食料がいっぱいになったら、一緒に遊ぼうよ!自分が本当にやりたいことが見つかるよ!」
 
そして、季節は過ぎて、冬になりました。
 

何を蓄えておくのか?

雪が積もる寒い日も、アリさんは夏の間に蓄えてた食料で生きていくことができています。
 
キリギリスさんは、夏の間、いろんな遊びをした中で、「歌」と「旅」が楽しいなと思って、音楽の先生になりました。
全国を旅しながら、各地の子どもたちと大好きな歌を楽しむ幸せな日々です。
 
アリさんも、そんな幸せそうなキリギリスさんをみて、冬の間に、いろんな遊びをしてみることにしました。
もしかすると、次の夏も同じ仕事をしているかもしれないけど、「これしか知らない」で選ぶのと、「たくさん知って、たくさん経験した中から選ぶ」のでは、自分の納得度が違うな!とアリさんも思うのでした。
 
今日も、この後、アリさんの家にキリギリスさんが遊びに来て、一緒にご飯をたべて遊ぶ予定です。

実は、アリさんもダンスをはじめていて、最近は、アリの巣の中でダンスパーティーを主催したのでした。
働きアリさんも、女王アリ様も一緒に踊って、巣の中がほんわかとした雰囲気に包まれていったのでした。
 
もしかすると、来年の夏には、アリさんは餌を運ぶ仕事ではなく、ダンスで仲間を楽しませる仕事をしているかもしれませんね…。
 
(おしまい)
 

 

ひとことメッセージ

 
 
いい学校にいけば…、
いい会社に入れば…、
資格をとれば…
 
そんな「安定した人生の神話」みたいなものは、とっくに崩れ去ってしまいました。
 
さらに、「我慢して働く」ことで、心を壊している人もたくさんいる時代です。
 
そんな時には、「自分」に投資をするのが一番確実だと思うのです。
いつでも、どこでも、必要とされる自分を育てていく。
 
好きで、得意なことで、人を喜ばせて、お金をもらう。
 
そんな生き方や働き方ができると、あなたも、あなたの周りの人も幸せですよね。
 
ぜひ、そんなことも考えてみてください!
 
 
ここで言いたいことは、コツコツやることが意味がない!という言ってる訳ではないですよ。
コツコツする前に、なんのためにやるのかという目的も大切だよねと言いたいのです。
 

今日の質問:どうやって、自分を育てていきますか?

 
ぜひ、自分の答えを探してみてくださいね。

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※著作権は、河田真誠と牛嶋浩美に帰属します。改ざん、改変、複写、二次配布などを一切禁止いたします。
 
(文:©河田真誠)
(絵:©牛嶋浩美)
 
 
※この企画を本にして下さる出版社さんを探しています。河田真誠(info@cocoro-style.jp)まで連絡ください。



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